冬の朝、エンジンをかけてもなかなか暖まらない…
しばらく走ってるのに、暖房が効かない…
そんな経験はありませんか?
愛車の水温計がなかなか上がらない、あるいは、上がってもすぐに下がってしまい、なかなか暖房が効かない。
これは、冬の時期に起こりやすいオーバークールと呼ばれる現象かもしれません。
エンジンが冷え切ったまま走行すると、エンジンや車の他のシステムに負担をかけ、長期的に見ると故障のリスクが高まる可能性があります。
また、燃費が悪化したり、エンジンの出力低下や始動不良などのトラブルが発生する可能性もあります。
今回は、冬に起こりやすいオーバークールについて、その原因や対策を詳しく解説していきます。
愛車の冬支度、しっかりとできていますか?
記事のポイント
冬場、暖房が効かない、水温計が上がらないという場合、オーバークールの可能性が
暖房が効かないだけでなく、エンジンに深刻なダメージを与えるリスクも
主な原因は、サーモスタットといった冷却水系統の循環トラブル
エンジンに深刻なダメージを与える前に、整備工場で点検を
目 次
冬に車の水温計が上がらないのは?

冬場、しばらく走行しているのに暖房が効かない、水温計が上がらないという場合、オーバークールの可能性が高く、これはエンジンにさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあります。
エンジンの冷却水が低いとどうなる?
エンジンの冷却水が低すぎると、エンジンが適切な動作温度に到達しないため、効率が低下します。
通常、エンジンは一定の温度範囲で最も効率的に動作しますが、冷却水の温度が低すぎると、燃焼の効率が悪くなり、燃費が悪化することがあります。
また、エンジンオイルも適切に温まらないため、潤滑性能が低下し、エンジン内部の摩耗が進む可能性があります。
具体的には、以下のようなリスクが発生します。
- 局部的な過熱
冷却水の循環不良でエンジン内部に「ホットスポット」が発生 - 凍結リスク
濃度不足の冷却水が-15℃以下で凍結し、配管を破損 - サビの発生
冷却系統の金属部分が腐食しやすい状態に - オーバークール
適切な温度維持が困難になり燃費が悪化(約5-10%低下)
車の水温計が低いまま走るのはダメ?
理想水温は80-90℃(低温時は60℃以下が目安)で、水温計が低いまま走行するのは避けるべきです。
エンジンが適切な温度に達していない状態で走行を続けると、エンジン内部の部品に負担がかかりやすくなり、長期的に見ると故障のリスクが増加します。
特に電子制御式のエンジンは、適切な温度で最適化されているため、長時間低温での走行を続けると、エンジンのパフォーマンスが大幅に低下する可能性があります。
以下のようなエンジン損傷の可能性があります。
▶ オイル粘度が低下し潤滑不良(摩耗やエンジン焼き付きのリスク)
▶ 燃焼効率低下で燃料消費量増加
▶ 排ガス浄化装置の機能低下
▶ エンジンの出力低下
▶ 始動不良
水温計が上がらないと暖房は効かないの?
サーモスタットが故障している場合、冷却水が常に循環してしまい、エンジンが温まらないため、暖房が効かなくなることがあります.
これは、車のヒーターが冷却水の熱を利用して車内を暖める仕組みのためです。
エンジンの冷却水が十分に温まっていないと、ヒーターコアを通過する冷却水も温度が低く、車内を十分に暖めることができません。
冬に車の水温計が上がらないのは?│原因と処置

水温計が上がらない場合は、早めに整備工場での点検を受けることをお勧めします。
適切なメンテナンスを行うことで、エンジンの健康を保ち、長期的なコストを抑えることができます。
水温計が上がらない原因はなに?
水温計が上がらない原因はいくつか考えられます。
- サーモスタット故障
水温計が上がらない主な原因の一つは、サーモスタットの不具合です。
サーモスタットが開いたままになっていると、エンジンの冷却水が常にラジエーターに流れこんでしまい、温まりにくくなります。 - 冷却水の循環不良
冷却水自体が不足している場合や、冷却系統に空気が混入している場合も、正確な水温を計測できないことがあります。
ラジエーターやホースの詰まり、ウォーターポンプの故障といった冷却水流路の詰まりなども、原因となることがあります。 - 水温センサー異常
水温センサーの誤作動で、エンジンがなかなか暖まらないことがあります。
車のオーバークールの応急処置は?
オーバークールの応急処置としては、以下のようなものがあります。
- 低速走行を意識する
高速走行を避け、低速でエンジン回転数を高めにして走行することで、エンジンが適正温度に近づくことができます。 - 冷却水の量を確認
走行前に、必要に応じて補充することも大切です。
冷却水を補充する際は、必ずエンジンが冷えている状態で行ってください。 - ラジエーターを段ボールで覆う
ラジエーター前面を段ボールで覆う(開口率50%程度) という処置もあります。
ただし、覆いすぎるとオーバーヒートのリスクがあるため注意が必要です。 - ヒーターをオフにする
車内の暖房を使用すると、エンジンの熱が奪われてしまいます。
暖房を切ることでエンジンの熱を内部に留め、温度を適正範囲に戻すことができます。
ただし、これらは一時的な対処法に過ぎないため、早めに整備工場に持ち込み、実際の原因を特定することが重要です。
オーバークールの直し方は?
オーバークールの処置は、以下のようなものになります。
- サーモスタット交換
- ECU診断(センサー誤作動の有無確認)
- 冷却水量の確認、全交換、冷却系統の圧力テスト
- ラジエーターのチェック、詰まりや腐食がないか確認
オーバークールの問題を根本的に解決するには、プロの整備士に依頼して車両をチェックしてもらうことが最も確実です。
たかが水温の問題と軽く見ず、エンジンに深刻なダメージを与える前に、点検してもらいましょう。
総括│冬は車の水温計が上がらないのは?
冬季に車の水温計が上がらない症状、いわゆるオーバークールは、多くの場合サーモスタットの不具合や冷却水の循環不良が原因となっています。
この状態を放置すると、エンジンの効率低下や内部の摩耗が進み、結果的に大きな故障に繋がる可能性があります。
また、車内暖房が効かなくなるなど、日常の快適性に直結する問題も引き起こします。
応急処置に頼るよりも、早めに整備士の点検を受け、サーモスタットの交換や冷却水系統の確認を行うことが、長期的な車両の健康と快適なドライブのために重要です。
適切なメンテナンスを行い、冬でも車をスムーズに運転できるように備えましょう。